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2020.02.28
“踵のフィット性”を考える
ERGOSTAR(エルゴスター)ソックスの特長のひとつに、特殊な成形技術によって実現した「踵のフィット性」があります。
人間の”踵の構造”と”着地の仕組み”
人間の足に直立二足歩行(走行)をするための仕組みが備わっていることは、以前のブログでもご紹介した通り。それを支える踵や足首は骨格の構造上、内側と外側で形状が同じではありません。例えば、踵を後ろから見てみると個人差はありますが”傾き”がありますし、くるぶしの位置も内側と外側で高さが異なっていると思います。
歩行や走行時、足は着地の衝撃を「プロネーション」という動作で受け止めようとします。踵の外側から着地し、荷重とともに踵が内側に倒れ込むように動いていくことで、連動するアーチが潰れるようにして衝撃を受け止めるのです。歩行時よりも走行時の着地の方がより外側から着地する傾向がありますが、これは走行による着地衝撃の方が大きく、それを吸収しようとする動作=プロネーションをより誘発しやすい状態を作り出すためと考えられています。
「プロネーション」は着地の最大荷重時に踵が倒れ込む度合いによって、「ニュートラルプロネーション」「オーバープロネーション」「アンダープロネーション(サピネーション)」という3つに分類されます。特に「オーバー」や「アンダー」の場合、その度合いが強くなると怪我につながる可能性も高まるため、自身のプロネーションを自覚して、日頃のケアやシューズ選び等に活用されているランナーの方も多いかと思います。
このプロネーションという動作は無意識に行われているもので、自分自身で着地の度にタイミングを合わせて「今だ!プロネーション!」とやっているわけではありませんよね。つまり人間の足というのは、歩行や走行といった一連動作の中で自然に動き、衝撃吸収ができる物理的構造になっているということです。そして、その仕組みを構築する骨格や筋肉、靭帯をいった身体のパーツも、決して単純とは言えない複雑な形状をしています。
回内足は、アーチが低い状態(扁平足)になりがち。
オーバープロネーション(過回内)は、着地の最大荷重時に踵が大きく内側に倒れ込む。
着地が不安定になり、脚の筋肉や関節、膝への負担が大きくなりやすい。
ERGOSTARソックスの”踵の構造”
一般的なソックスの踵は、半球体でシンメトリー(対称)の形状です。しかし複雑な形状である人間の踵に対しては、それだけでは十分にフィットさせることができません。ERGOSTARソックスは、そんな踵のフィッティングにもこだわって設計しています。ソックス工場である私たちが「ゴアライン」と呼んでいる踵側面の編み目、ここに注目してください。
一般的なソックスは踵の外側と内側のゴアラインが同じ形状をしています。しかし、ERGOSTARソックスは踵の形状や踝の位置に合わせて内側を長く、外側を短く編んでいます。それと同時に外側は大きな”Y字型”を成形し、横方向にゆとりを持たせることで外に膨らむ踵の形状に対応しています。
この特殊な踵成形技術、実は編むのに時間が掛かってしまうため生産効率が良くありません。そうでなくともソックスにおける「踵・爪先」というのは編むのに時間が掛かる部分なので、極力シンプルな設計にするというのが一般的です。しかし、エルゴノミクス(人間工学)を考えるのが私たちERGOSTAR(エルゴスター)。複雑な形状をした人間の踵にもピッタリとフィットするソックスを作るため、この特殊な踵成形技術にこだわりを持っています。